ある日、とある離島の墓地の壁から地下へと延びる巨大な空洞が出現した。そこから王を自称する朽ちかけた男が這い出て、一千年の昔に滅亡したはずの“黄金の国”の存在を明かし、王国は“狂乱の魔術師”によって地下に囚われ続けているため、元凶である魔術師を討伐した者には国の全てを与えると言い残し、塵芥となって消えた。その言葉に魅かれ、魔物が跋扈するダンジョンを踏破しようと多くの冒険者が乗り込む時代が幕を開けた。
6人パーティを組む冒険者ライオス一行は、ダンジョン探索中に食料を失い、空腹のままレッドドラゴンに挑むことになる。その結果、パーティは実力を十分に発揮できず壊滅状態となるが、ライオスの妹ファリンがドラゴンに食われながら使った脱出魔法により、他のメンバーはかろうじて地上へと逃れた。ファリンの肉体がドラゴンに消化される前に救い出し、魔法によって蘇生させるため、すぐにでもファリン救出に向かいたいライオスだったが、シュローとナマリがパーティを離脱してしまう。パーティを解散し、単身でダンジョンに挑もうとするライオスを見かねたマルシルとチルチャックが協力を申し出、あらためて3人のパーティが結成された。残る問題は探索に必要な食糧だったが、ライオスは食料の現地調達、つまりダンジョンに巣食うモンスターを食材とすると言う、とんでもないアイディアを披露する。
マルシルの激しい拒絶にも構わず、ライオスは手近な食材を集めて即席で料理を拵えようとするものの、適切な調理法を知らず難儀していると、その場に通りかかったセンシが手助けを申し出て見事な手際で調理を行い、その魔物料理の美味さにライオスたちは驚く。魔物食に一家言を持つセンシは一行の目的を聞き、レッドドラゴンが料理できる可能性に惹かれ、新たな仲間となった。 かくしてライオス一行は、モンスターを食べながら、ダンジョンを踏破していくことになる。
様々な苦難を乗り越え、地下5階に辿りついた一行は、ファリンを取り戻すべく再度レッドドラゴンに挑戦、手酷い傷を負いながらも討伐に成功する。消化され骨だけになっていたファリンのため、マルシルは禁忌とされる古代魔術を執行し、レッドドラゴンの死体の血肉を元に、蘇生に成功する。
再会を喜び合ったのも束の間、蘇生にレッドドラゴンの肉体を使った影響で、ファリンはレッドドラゴンの主である「狂乱の魔術師」シスルに支配されてしまう。態勢を立て直すべく地上へ戻ろうとしたライオス一行が、彼らとは別にファリンを救うべく故郷の者たちを呼び寄せたシュローの一行、シュローに救われたカブルー一行と合流したところへ、下半身がドラゴンのキメラと化したファリンが襲いかかり、シュローとカブルーの一行の大半が死亡するほどの被害を受ける。死者たちを蘇生したシュロー、カブルーは地上へ戻り、ライオス達が禁忌を犯したと報告することとなり、そのため地上へ戻れなくなったライオスたちはファリンを再び救うべく、狂乱の魔術師の討伐を固く決意し、ダンジョンの探索を続けることになる。
シュローの元から逃亡したイヅツミと行動を共にすることとなったライオスたちは、迷宮を彷徨う亡霊に招かれ、黄金城を遠くに望む謎の空間にある村へやってくる。そこでは黄金の国の住民たちが、狂乱の魔術師の呪縛によって、老いることも死ぬこともないまま一千年の時を過ごしていた。住民たちや王の孫であるヤアドは、国の守り神である翼獅子の予言もあり、新たなる王となるべき人物としてライオスたちにこの国の行く末を託し、その後、夢の中で翼獅子と会話したライオスは、そのことを強く意識することとなる。 またセンシの発案で、狂乱の魔術師を倒しファリンのドラゴンの部分の肉を食べれば、ファリンを元の人間に戻せる可能性に思い至り、希望を見出す。
一方カブルーは、島にやってきたカナリア隊と接触していた。彼らはダンジョンを危険視し、制圧することを目的とするエルフの一隊で、狂乱の魔術師を実力を発揮しきれない低階層におびき出し、彼が呼び出したファリンともども打ち倒そうとするが、様々な思惑からカブルーはそれを阻止し、カナリア隊のミスルン隊長と共に地下6階へ落下する。救出を待つ間にダンジョンの隠された真実を知ったカブルーは、ライオス一行がダンジョンを攻略する危険性に気づく。その後、地上から救援が到着するが、近くにライオス一行がいると気付いたカブルーはライオス一行を追うことを決め、カブルーの思惑を察したミスルンとカナリア隊も後を追う。
ライオス一行は前人未踏のダンジョン最下層へ到達。立ちはだかるボーパルバニーやファリンキメラを倒し、遂にシスルの隠れ家に到着する。待ち構えていたシスルがドラゴンを召喚し一行は全滅しかけるものの、唯一生き残ったライオスは持ち前の知識を活かし、ドラゴンの攻撃をかいくぐってシスルを捕らえることに成功し、説得による和解を試みる。しかし正常な思考のできないシスルは厚意のつもりでライオスを拘束し、その隙を突いて悪魔の本性を現した翼獅子が、シスルの千年分の欲望を食べ尽くす。廃人と化する間際、シスルは最期の希望を託してマルシルを蘇生させ、マルシルの術によって全員が復活する。翼獅子の封印を解く直前、カブルーとミスルン率いるカナリア隊が隠れ家に到着。尋問のためマルシル以外は催眠術をかけられ、孤軍奮闘するマルシルとカナリア隊の悶着の末、マルシルが翼獅子の封印を解き迷宮の主となってしまう。
迷宮の主となったマルシルが迷宮の形を作り替えたため、迷宮内にいた冒険者たちやカナリア隊、オークたちは大混乱に陥る。彼らは迷宮の主となった(と推測された)ライオスの扱いを巡って対立。シュローとナマリは真相を知るため、カナリア隊は迷宮を封じるためライオスの行方を追う。同じ頃、ライオスは迷宮の力に良くないものを感じるがマルシルの説得に失敗、マルシルの許から逃げ出す。マルシルは邪魔なカナリア隊と戦うべく、魔物を率いて地上を目指すが、迷宮の“上方”に開けた突破口から迷宮が世界を覆い始め、悪魔が世界を支配するのは時間の問題となっていた。逃げ出したライオスたちはカブルーやシュローたちと合流、マルシルが迷宮の主となったことを伝え翼獅子の正体が悪魔だと知らされると、再度マルシルを説得し悪魔を倒すため、マルシルと合流する。しかしマルシルは翼獅子によって抑制心を失い、悲願を果たすことしか考えられなくなっていた。ライオスたちはマルシルの気を逸らして時間を稼ぎつつ、彼女の悲願の無謀さと迷宮の力の歪さを説き、遂にマルシルの説得に成功する。しかし迷宮の主を辞める方法は、主となった者が死ぬか悪魔を倒すしか残されていなかった。
翼獅子と対話する中でとある点に気付いたライオスは、悪魔を倒した暁には迷宮にいる全員に食事を振る舞うという約束をとりつけ、翼獅子との対決に向かう。そしてマルシルに替わって迷宮の主となったライオスだったが、彼が願う「悪魔がこの世からいなくなること」も「ファリンを人間として蘇生させること」も翼獅子には無視され、彼の根底にある「魔物になりたい」と言う誘惑に負けた結果、ライオスは自身の考えたオリジナルの魔物と化し、代償として肉体を翼獅子に乗っ取られる。ライオスの肉体を介して迷宮の主となった翼獅子は、自身の願いである「人間の欲望を永遠に味わうこと」を叶えるべく、迷宮から出て全ての人類を異界へ連れ去ろうとし、ミスルンやマルシルたちも止めることができない。しかし魔物と化したライオスが翼獅子の“食欲”を食べ尽くしたことで、悪魔は「人間の欲望を永遠に味わいたい」と言う欲望と「あらゆる願いを叶える」能力を失い、空気や水のような「意志なき魔力」に戻った。しかし翼獅子は最期の瞬間、ライオスに「一番の願いは決して叶わなくなる」と言う呪いを掛ける。 悪魔の消滅を見たマルシルたちは、ライオスやファリンの安否を気遣う間もなく、迷宮の崩壊が始まったため脱出を余儀なくされる。それまで魂を人形にやつして同行していたヤアドは、(瓦礫の直撃を受け損壊した)自身の体の代わりに祖父デルガルの体に入り、シスルも連れて彼らを出口まで導く。ヤアドは迷宮の外に出ることによる自身の消滅も覚悟していたが、翼獅子が外に出た際に迷宮と外界の境界が消失したため生き残り、また、異界に取り込まれた人々、さらにはライオスの無事も明らかになる。 ライオスは人々に食事の約束を再度示し、それが「妹を一緒に食べてほしい」という常軌を逸したものだったため一旦は猛烈な反発にあうも、妹を救いたいという意思が伝わり、多くの人々の協力を得た大宴会が始まる。 その席でライオスは人々に王として認められ、「悪食王」の二つ名を受ける。ライオスは父が村長であった経験を活かし、細々と小さな島の統治をするつもりであったが、実は黄金郷が沈んだ大陸だったことが明らかになる。一方、シスルはヤアドを見て、デルガルが無事に帰ったと思い込み、ヤアドの言葉を聞きながら安らかに眠りにつく。
宴会は七日七晩続き、噂を聞きつけてやってきた人々や、悪魔の欲望を食べた結果、常に小腹が空いた状態となったライオスのため、ついに竜の消費が完了する。 ライオスは、翼獅子の最後の呪いのため、ファリンの蘇生の失敗を危惧するが、マルシルたちに励まされ、エルフたちの協力を得て蘇生に取り掛かる。
ファリンはかつて自分の下半身だった竜を食べる夢を見る。するとファリンの前に翼獅子がおり、「うまいか?」「もっと食べたいか?」と訪ねる。ファリンが肯定すると、翼獅子は「そちらのほうが辛く残酷な道だと思う」と言いながらも道を示し、それに従ったファリンは目を覚ます。下半身に少し竜の特徴が残ったものの、ファリンの蘇生は成功した。
その後、王となったライオスは苦労しながらも国を治め、魔術や魔物を利用した食料の生産法の研究に心血を注いだことが語られ、食にこだわる理由を尋ねた亜人の子らに、「食は生の特権だ」と答える場面で幕を閉じるのだった。
The knight Laios sets out with a skilled party to claim the treasure of a lost kingdom buried deep beneath the graveyard of a small village. Unfortunately, they were bested by a Flame Dragon, who ate Laios's little sister, Farin. Although the party managed to teleport out of the dungeon, they left their equipment behind and were penniless. Demoralized, the party broke up. Now Laios must tackle the dungeon again, and with only one month to save Farin before she is digested.