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(ニャンコ先生の寝息) (書く音)
(息を吐く音)
(物音) (夏目(なつめ))うん?
(窓の揺れる音)
(夏目) 窓をたたく かすかな音がして—
一瞬 誰かが 名前を返してもらいに来たのかと…
雪だ… 雪だよ せんせ…
(寝息)
その湯たんぽ もう先生専用だな
(寝息)
(夏目)小さいころから 時々 変なものを見た
ほかの人には 見えないらしい それらは—
恐らく 妖怪と呼ばれるもののたぐい
(夏目)塔子(とうこ)さ〜ん! 雪が…
あっ…
ンンッ…
塔子さん? 何か捜し物ですか?
(塔子)えっ? ああ 貴志(たかし)君
お願い 手伝ってくれる?
ああ… はい
(夏目)これですか? (塔子)ええ ありがとう
(夏目)ンンッ…
あ〜 やっと出せた ありがとう 貴志君
いえ 何ですか?
ストーブ?
お風呂場の前 寒いでしょう 古いけど まだ使えると思うの
これ捜してたら 懐かしい物が いろいろ出てきて—
つい 気を取られちゃって…
滋(しげる)さんが作った器とか 旅行のお土産とか
フフッ…
(塔子)ヤダ! もう晩ご飯の支度しなくちゃ
片づけは あした また ゆっくり…
(夏目)これ 運んでおきますね (塔子)あっ ありがとう
そうだ 雪 降ってきましたよ
(塔子)そう… 冷え込むわけよね
(夏目)あの… ちょっと 散歩してきてもいいですか?
降ってるところが見たくて…
(塔子) あら 子供みたい フフッ…
暖かくして行ってね
(塔子)マフラーと手袋もね! (夏目)は〜い!
(塔子)今夜はお鍋 水炊きよ! (夏目)は〜い!
(寝息)
いつもと景色が違って見えるな 寒いけど 気持ちがいい
急に暗く… 調子に乗って歩き過ぎた
マズかったかな こんな日に 先生も連れてこずに…
(夏目)雪女でも出そうな… (モコ)見つけなきゃ…
(夏目)うん? (モコ)見つけなきゃ…
(モコ)見つけなきゃ… (夏目)あっ…
(夏目)いた! やっぱり!
(モコ)う〜ん…
でも 雪女というより—
雪だるまみたいな 随分 モコモコしたヤツだな
(モコ)見つけなきゃ…
(夏目)何か捜してるのか…
あっ…
(夏目)しまった!
(モコ)お前 見えるのか?
待て! 不思議なヤツ!
一緒に捜してくれ お前なら きっと…
ついてくるか…
(夏目)何を捜してるんだ? (モコ)な… 何をって…
何か温(あった)かいものだ
温かいものって こんな雪の中で…
寒いのか?
(モコ)うん…
(夏目) 困ったな これくらいしか…
ほら これ やるから
(モコ)アア…
(凍る音) 冷たっ!
ウワッ! 凍ってる!
寄るなよ! あんまり近づくと 俺まで凍ってしまう
ンッ… もっと何かキラキラしたものだ
キラキラ? 言ってることが違うぞ
フフッ… 人の子と 話をしたのは初めてだ
変な感じだな
フッ… それ 落としたのか? 本当に この辺りだったか?
(モコ) 分からない 思い出せないのだ
何か 温かくて キラキラして いい匂いがして…
(夏目)待てよ “思い出せない”って—
もしかして それが何か どこにあるかも—
分からないものを 捜しているっていうのか?
見つけなきゃ いけないってことは—
分かっている
片ときも 忘れたことはない
夢の中でも捜している
おかしなヤツだな
(モコ)一緒に捜そう! お前だって何か捜しているだろう?
(夏目)いや 俺は何も… (モコ)そうか?
人とは大抵 何かしら 捜しているものだと思ってた
(夏目)えっ?
(モコ) 何かしら いつも捜したり 忘れたり
人のほうが よっぽど おかしい
とにかく 悪いけど—
君が 思い出してからじゃないとムリだ
またな
待て ヒョロヒョロ! 冷たいじゃないか!
(夏目) “冷たい”って… そっちこそ…
あっ…
(夏目)ウワッ! (モコ)ウッ!
(夏目)ハァハァ…
イタタ… 不思議なヤツ
ハァハァ ハァハァ…
ハッ…
(ぶつかる音) ウッ! アッ…
ンンッ… すみません!
あっ… 滋さん
(滋)うん? 貴志か どうした? 何かあったのか?
(夏目)いえ あの… 雪がすごくて はしゃいじゃって…
(滋)えっ? それで そんなに走ってたのか?
(笑い声)
(滋)確かに この辺りじゃ あんまり雪が降らないからね
子供のころ こんなふうに降ってワクワクしたな
積もった雪の上に 足跡をつけて遊んだよ
まだ誰も踏んでない所に いちばん最初に足跡をつけたくて
あっちこち 駆け回った
(少年時代の滋) ハァハァ ハァハァ…
へえ…
(夏目)今日は鍋ですって (滋)オッ… それは いいな
(塔子)あら 2人一緒! おかえりなさい!
(塔子)さあ どうぞ
(滋)おお… おいしそうだ (塔子)うん!
(塔子)フフフッ… は〜い
フフフッ…
ハフハフハフ…
(ニャンコ先生)また お前は… くだらんヤツに引っ掛かりおって!
そいつも 友人帳(ゆうじんちょう)目当てじゃないだろうな?
(夏目)いや…
(夏目)あっ また酒飲んでる! (ニャンコ先生)うん? 雪見酒だ
(夏目) 雪見てないじゃないか まったく…
俺のことをレイコさんと 間違ったりしなかったし—
友人帳に 名が あるわけではなさそうだった
うん? 〝捜してた 〞と 言ったか? 雪の中で
(夏目) 何か聞いたことあるか? 先生
あるような ないような…
う〜ん…
思い出せない!
飲み過ぎだからだろう
(ニャンコ先生)う〜ん… それは それは 美しい—
女のあやかしものがいると… (しゃっくり)
あっ… ハハハハッ…
フゥ!
(夏目)こんなだったよ (ニャンコ先生)うん?
(ニャンコ先生) 何だ? このモッサリしたのは
(夏目)このモコモコが それだよ
さあ もう寝るぞ
(ニャンコ先生) ヤダ! まだ飲む〜!
(ニャンコ先生の寝息)
(夏目) まだ捜してるんだろうか ひとりで
(モコ)人とは大抵 何かしら 捜しているものだと思っていた
何かしら いつも捜したり 忘れたり
(夏目) 本当に そうかもしれないな
(夏目) どこだ? ここ… 何にも見えない
俺 何を捜して…
ハッ…
見つけなきゃ… 見つけなきゃ…
寒い…
寒い…
(夏目)寒すぎる! (ニャンコ先生)ニャ〜!
あっ…
ウワッ! モコモコ! ついてきたのか?
(ニャンコ先生) ヒイッ! モッサリ!
こいつか! 何なんだ? この冷気は
夏目! ストーブ ストーブ!
(夏目)い… いるだけで寒い!
(ニャンコ先生) 湯たんぽ 湯たんぽ!
ヒョロヒョロ これ 返しに来てやったぞ
(夏目)こ… 凍ってる! (ニャンコ先生)ニャ!?
(夏目)マ… マフラー…
(ニャンコ先生) 問答無用! 出てけ!
待ってくれ 先生 せっかく届けに来てくれたんだ
(夏目)ちょっとだけ話を… (ニャンコ先生)ムッ!
(ニャンコ先生)どアホー!
…で 見つけられそうか?
(モコ) ああ! 温かいもの見つけたぞ
(夏目)見つかったのか?
(モコ)この家にあったのだ (夏目)えっ?
(モコ)この家には 温かいものが いっぱいあった!
それは違うだろう
ここの家にあるものは 君の捜しているものではないはずだ
(モコ)うん? これ…
(ニャンコ先生)ウワッ!
(夏目) 凍ってて何だか分からない!
温か〜い…
でも やっぱり違う…
(ニャンコ先生)凍えるわ!
(モコ) 乱暴にするな! このモサモサ!
(ニャンコ先生) お前に言われたくない!
(夏目)いいか? モコモコ 大事なものなんだろう?
とても
だったら よく思い出してみろ 何を捜してるのか どこにあるのか
分かった 思い出してやる
(寝息) (夏目・ニャンコ先生)うん?
(寝息)
(夏目)寝るな! (ニャンコ先生)オオ〜ッ!
(モコ)思い出した! (夏目)本当か?
(モコ)何か懐かしいもの… 懐かしくて真新しいものだ