麹町にある、小学生用の教材を専門とする小さな出版社「雲と木社」の営業部派遣社員・澤田三智子は、4年付き合った恋人に振られ、自分にとりたてて取り柄がないことを改めて実感する。落ち込んでいた三智子を見かねて、営業部長の黒川敦子、通称・アッコ女史がさりげなくランチに誘う。三智子は毎日お弁当を作っていたため断るが、食欲がなく、持ち帰ろうとしていたお弁当を、アッコ女史が食べたいと言ったため、譲ることにする。アッコ女史は思いの外三智子の素朴なお弁当を気に入り、翌週の1週間、自分のランチと取り替えてほしいという提案を持ちかける。
職場の近くに店がないこともさることながら、何よりも少ない手取りで生活を維持するために、外食とは縁遠かった三智子だったが、月曜日から金曜日までランチの店を決めているというアッコ女史の指示に従って、久しぶりの外食を楽しむ。月曜日は店主が趣味の延長でやっているというカレー屋、火曜日は大手町までジョギングして移動屋台のスムージー。水曜日はアッコのお使いを兼ねて、神田神保町へ。古書店で久しぶりに児童書を手に取り、店主からイベントに誘われるなど親しくなる。4日目となる木曜日には、アッコ女史が恒例にしていた社長との屋上ランチも三智子は体験する。社長の学生時代の思い出の「自由軒のカレー」について聞いたり、最近、自社の目玉教材の売り上げが下降気味であることが話題となり、三智子は子供の頃に好きだった児童書のキャラクターをモデルにした新キャラクターの教材を提案する。社長から正式に企画書を書き、プレゼンするよう言われ、三智子は閉じていた世界が広がっていくように感じた。最終日となる金曜日、アッコの指示通り初日のカレー屋へ赴いた三智子は、老人施設へ配達へ行く店主の代わりに店番を頼まれる。アッコも毎週やっていたと聞き、初めての接客業に四苦八苦しながら、前日の社長の話をヒントにカレーを最後まで売り切る。三智子の表情は1週間前とは比べ物にならないほど輝き、自分の成長を実感し、アッコを心から慕うようになっていた。